家にUSB充電器がいくつもあるのに、同じスマホでも充電の速さが違う。どれを使えばいいのか分からなくなりますよね。
USB充電器の違いは、見た目ではなく本体に書かれた出力の数字と規格で決まります。
W数、差し込み口の形、急速充電の規格、PSEマークの4つを見れば、手元の充電器がどのくらいの速さなのか、安全に使えるのかが分かります。
USB充電器の速さの違いはW数で決まる
USB充電器ごとの違いでいちばん大きいのは、1度に送れる電力の量です。この量はW(ワット)で表され、数字が大きいほど速く充電できます。
W数は、電圧(V)と電流(A)をかけた数字です。5Vで1Aなら5W、9Vで2.22Aならおよそ20Wになります。
昔のiPhoneに付いていた小さな充電器は5Wでした。いまスマホ用として売られている充電器は20W前後が多く、同じスマホでも充電にかかる時間が短くなります。
端末ごとのW数の目安
| 端末 | W数の目安 | 見ておくこと |
|---|---|---|
| スマートフォン | 20W以上 | 急速充電を使うならこの数字から |
| タブレット | 30〜45W | 画面が大きい機種ほど多めに |
| ノートパソコン | 30〜100W | 付属の充電器のW数に合わせる |
サンワダイレクトの選び方のページでも、この表と同じ数字が目安として紹介されています。
ただし、W数の大きい充電器を使っても、スマホが受け取れる量を超えて速くはなりません。20Wまでしか受け取れないスマホに65Wの充電器をつないでも、20W前後で充電されます。
反対に言えば、W数の大きい充電器を小さな機器につないでも、必要な分しか送られないので心配はいりません。
GaNの充電器は同じW数でも小さい
最近の充電器には「GaN(窒化ガリウム)」と書かれたものがあります。GaNは熱が出にくい部品で、同じW数でも本体を小さく作れます。
W数が同じなら、充電の速さは変わりません。違うのは大きさと重さなので、持ち歩く人はGaNの充電器を選ぶと荷物が軽くなります。
USB充電器の差し込み口はType-Cを選ぶ
これから使う充電器を選ぶなら、USB Type-Cの差し込み口があるものがおすすめです。
USB-Aは長方形の差し込み口で、パソコンや少し前の充電器に多い形です。Type-Cは楕円形で、上下どちらの向きでも挿せます。
急速充電の規格であるUSB PDは、Type-Cの差し込み口で使う仕組みです。USB-Aしかない充電器では、PDの急速充電は使えません。
| 比べるところ | USB-A | Type-C |
|---|---|---|
| 差し込み口の形 | 長方形で向きがある | 楕円形で向きがない |
| USB PDの急速充電 | 使えない | 使える |
| 向いている機器 | イヤホンなど小さな機器 | スマホ、タブレット、ノートパソコン |
USB-Aの充電器も、ワイヤレスイヤホンやキーボードのように小さな機器なら今でも十分に使えます。捨てずに使い分けるのがおすすめです。
急速充電の違いはUSB PDとQuick Chargeの2つ
急速充電の規格は、主にUSB PD(Power Delivery)とQuick Charge(QC)の2つです。iPhoneも多くのAndroidスマホもUSB PDで急速充電できるので、迷ったらPD対応を選べば大丈夫です。
USB PDは、充電器とスマホが通信して、5V、9V、15V、20Vの中から合う電圧を選ぶ仕組みです。通常の範囲では最大100W、拡張された規格では最大240Wまで送れます。
Quick Chargeは、Qualcommが作った規格です。Qualcommのチップを使ったAndroidスマホで使われていて、新しいQuick Chargeの充電器はPDにも対応しているものが多いです。
規格がそろわないと普通の速さになる
スマホがPDに対応していても、充電器がQuick Chargeだけの対応なら急速充電にはなりません。この場合は5Vの普通の速さで充電されます。
「充電器を替えたのに速くならない」という人は、まずスマホと充電器の規格が同じかを確かめてみてください。
手元のUSB充電器は本体の小さな文字で違いが分かる
家にある充電器の速さは、本体に印刷された小さな文字で確かめられます。「出力」または「OUTPUT」と書かれた行の数字を読めば、その充電器のW数が分かります。
文字は、プラグの付け根や側面にとても小さく書かれていることが多いです。スマホのカメラで撮って拡大すると読みやすくなります。
出力の数字を読む順番
- 本体の「出力」または「OUTPUT」の行を探す
- 「5V 3A」のように並んだ電圧と電流の組み合わせを見る
- 電圧と電流をかけてW数を出す
- いちばん大きいW数を、その充電器の最大の出力として覚えておく
「5V 3A、9V 2.22A」と書かれていれば、最大はおよそ20Wです。「5V 1A」しか書かれていなければ5Wの充電器なので、スマホの急速充電には向きません。
「PD」や「Quick Charge」の文字が本体にあるかも一緒に見ておくと、急速充電に対応しているかまで分かります。
入力の数字は見なくていい
本体には「入力」や「INPUT」の行もあります。こちらはコンセント側の数字で、家庭用のコンセントで使えるかを示すものです。
充電の速さを比べるときは、出力の行だけ見れば十分です。
急速充電は充電器とケーブルとスマホの3つがそろって効く
充電器を20W以上に替えても、ケーブルとスマホが同じ規格に対応していなければ速くなりません。
とくに見落としやすいのがケーブルです。Type-CどうしのケーブルにもW数の上限があります。
一般的なType-Cケーブルは3Aまでの対応で、送れるのは最大60Wです。100Wを送るには5A対応のケーブル、240Wを送るにはEPRという規格に対応したケーブルが必要です。
スマホの充電なら、60Wまでのケーブルで足ります。ノートパソコンを65W以上で充電したいときだけ、ケーブルの対応W数をパッケージで確かめてください。
2台同時に挿すと1台あたりのW数は下がる
差し込み口が2つ以上ある充電器は、合計のW数を分け合って充電します。
合計65Wの充電器にスマホとノートパソコンを挿すと、それぞれに送られるW数は1台だけのときより少なくなります。分け方は機種ごとに違うので、説明書やメーカーのページで確かめましょう。
急いで充電したい機器があるときは、その1台だけを挿しておくと早く終わります。
USB充電器はひし形のPSEマークがあるものを使う
安全面での違いは、PSEマークで見分けます。コンセントに挿すUSB充電器は、ひし形のPSEマークが付いているものを使ってください。
PSEマークは、電気用品安全法の基準に合っていることを示すマークです。ひし形のマークは、とくに安全性が求められる製品に付くもので、国に登録された検査機関の検査も受けています。
モバイルバッテリーに付くのは丸形のPSEマークです。形が違うのは、法律で決められた製品の区分が違うためです。
PSEマークの無い充電器やモバイルバッテリーは、日本国内で売ることができません。フリマアプリや海外の通販で買うときは、商品の写真で本体のマークを確かめておくと安心です。
USB充電器の違いに迷ったら20W以上のPD対応を1つ選ぶ
ここまでの違いを、選ぶときの順番に並べ直します。スマホ用なら、Type-Cの差し込み口があり、USB PDに対応した20W以上の充電器を1つ持っておけば困りません。
- 充電したい機器を書き出す
- いちばん大きいW数が必要な機器に合わせてW数を決める
- 機器とケーブルがUSB PDに対応しているか確かめる
- 本体にひし形のPSEマークがあるか確かめる
タブレットやノートパソコンも同じ充電器で充電したいなら、65W前後で差し込み口が2つあるものを選ぶと、持ち歩く充電器を1つに減らせます。
いま手元にある5Wの古い充電器は、ワイヤレスイヤホンのような小さな機器の充電用に回すと無駄になりません。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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