スマホの電池が夕方に切れて、家に帰るまで地図もオーディオブックも使えない。そういう人に店員や家族が勧めてくるのがモバイルバッテリーです。
名前は聞いたことがあっても、充電器と何が違うのか、箱に書いてある10000mAhという数字が何を表すのかは、買う前に分かりにくいところです。
モバイルバッテリーとはどんなものかを、充電器との違い、容量の読み方、最初の1台の選び方、飛行機に持ち込むときの決まりまで紹介します。読み終わるころには、自分に必要な大きさが決められます。
モバイルバッテリーとはどんなもの?充電器との違い
モバイルバッテリーとは、電気をためておいて、コンセントのない場所でスマホなどを充電できる持ち運び用の電池のことです。携帯充電器やパワーバンクと呼ぶお店もあります。
中に入っているのはリチウムイオン電池で、スマホの電池と同じ種類です。家で本体に電気をためておき、外でスマホとケーブルでつなぐと、ためた電気がスマホへ流れます。
充電器との違いはコンセントがいるかどうか
充電器はコンセントにさして、そこから流れてくる電気でスマホを充電する道具です。電気をためる部分は無いので、コンセントのない場所では使えません。
モバイルバッテリーは本体に電気をためているので、電車の中でも公園でも使えます。その代わり、ためた分を使い切ったら、家に帰ってコンセントから本体を充電し直す必要があります。
停電のときに動くのもモバイルバッテリーだけです。防災用に1つ持っておく人が増えているのはこのためです。
充電できるのはスマホだけではない
USBで充電するものなら、ほとんどつなげます。タブレット、ワイヤレスイヤホン、スマートウォッチ、携帯ゲーム機が代表です。
20000mAh以上でUSB PDという急速充電の規格に対応した製品なら、ノートパソコンも充電できます。ただし、パソコン側が要求する出力に届かないと充電が始まらないので、買う前にパソコンの説明書で必要なW数を見ておいてください。
容量の数字でスマホを何回充電できる?
箱に書いてある10000mAhという数字が容量で、大きいほど多くの電気をためられます。ただし、スマホに入る電気は数字の6割から7割で、10000mAhなら実際に使えるのは6000mAhから7000mAhほどです。
本体の電池は3.7Vで電気をためていて、スマホに送るときに5V以上へ変換します。この変換で3割ほどの電気が熱になって失われます。
今のスマホの電池は4000mAhから5000mAhが主流です。10000mAhのモバイルバッテリーで、スマホを1回半から2回充電できる計算になります。
| 容量 | スマホの充電回数 | 重さの目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 5000mAh | 1回弱 | 100g前後 | 通勤や買い物の予備 |
| 10000mAh | 1回半から2回 | 200g前後 | 日帰りの外出や旅行 |
| 20000mAh | 3回から4回 | 350gから450g | 泊まりの旅行や防災用 |
箱や本体の裏に「定格容量」と書かれた小さい数字があれば、そちらが実際に取り出せる電気の量です。10000mAhの製品なら6000mAh台の数字が書いてあります。
選ぶときに見るのは容量と出力とポートの3つ
お店に並んでいる製品は数十種類ありますが、最初の1台は10000mAh、出力20W以上、USB Type-Cポート付きの3つがそろっていれば困りません。1つずつ説明します。
ポイント①容量は使う場面で決める
通勤や買い物のときに電池が切れそうなら5000mAhで足ります。100g前後でポケットに入ります。
日帰りで出かける日が多い人や、旅行にも持っていく人は10000mAhです。1つで2日はもつので、迷ったらここから選んでください。
泊まりの出張や、家族の分も充電したい人、停電に備えたい人は20000mAhです。重さと大きさが増えるので、家に置いておく用と割り切る人も多いです。
ポイント②出力は20W以上でスマホの急速充電に届く
出力はW(ワット)で書かれていて、大きいほど短い時間で充電できます。今のスマホは20W前後で急速充電するものが多いので、20W以上を選んでおけば充電器と同じくらいの速さで充電できます。
10W前後の古い製品だと、同じスマホでも充電に倍の時間がかかります。安さだけで選ぶと、ここで差が出ます。
急速充電をするには、USB PDという規格にモバイルバッテリーとスマホとケーブルの3つが対応している必要があります。箱に「PD対応」と書かれているかを見てください。
ポイント③ポートはUSB Type-Cがあるものを選ぶ
ポートは、ケーブルをさす穴のことです。今のスマホはほとんどがUSB Type-Cなので、Type-Cのポートがある製品を選んでおけば、スマホの充電器と同じケーブルが使えます。
USB Type-Aという昔からの大きい穴しか無い製品は、Type-Cのケーブルがささりません。古いイヤホンやガラケーを充電したい人以外は、Type-C付きを選んでください。
ケーブルが本体に付いている一体型なら、ケーブルを忘れる心配がなくなります。カバンの中でケーブルが絡まるのが嫌な人に向いています。
初めて使うときは満充電とケーブル確認から
買ってきたモバイルバッテリーは、まず本体を満充電にしてから、スマホの充電器と同じケーブルでつなぐのが基本です。次の3ステップで進めてください。
ステップ1は本体の充電です。付属のケーブルでスマホの充電器につなぎ、ランプが全部点灯するまで待ちます。10000mAhで3時間から5時間かかります。
ステップ2はスマホとの接続です。本体の出力ポートとスマホをケーブルでつなぐと、数秒でスマホの画面に充電マークが出ます。出ないときはケーブルを差し直すか、本体のボタンを1回押してください。
ステップ3は残量の確認です。本体のランプやパネルの数字が残量で、ランプが1つになったら家に帰って本体を充電し直します。
飛行機では預けられず機内に2個まで
モバイルバッテリーは預け入れの荷物には入れられず、機内に持ち込めるのは1人2個までです。国土交通省の決まりで、日本の航空会社はどこも同じです。
持ち込める容量は1個160Whまでで、100Whを超えるものは航空会社の許可がいります。Whは本体に書いてあることが多く、無ければ「容量mAh×3.7÷1000」で計算できます。10000mAhなら37Wh、20000mAhなら74Whなので、ふつうの製品は100Wh以内に収まります。
もう1つ大事なのが、機内でモバイルバッテリーを使えないことです。本体を充電することも、モバイルバッテリーからスマホに充電することも禁止されています。搭乗前に空港でスマホを満タンにしておいてください。
頭上の棚に入れず、座席のポケットや手元に置くように案内している航空会社もあります。細かい扱いは航空会社ごとに違うので、搭乗の前に利用する航空会社の案内ページを見ておくのが確実です。
長持ちさせる保管と捨て方
モバイルバッテリーの電池は、充電と放電を300回から500回くり返すと容量が目に見えて減るので、使わないときの置き方で寿命が変わります。
しばらく使わないときは、残量を半分くらいにしてから引き出しにしまってください。満充電のまま、または空のまま置いておくと、電池の減りが早くなります。3か月に1回は残量を確かめて、減っていたら半分まで充電し直します。
夏の車の中や、日の当たる窓ぎわには置かないでください。電池は熱に弱く、高温の場所に置くと膨らむことがあります。
本体が膨らんだり、充電中にいつもより熱くなったり、満充電にしてもすぐ減るようになったら寿命です。膨らんだ本体はそのまま使わず、次の方法で捨ててください。
捨て方は自治体によって違い、危険ごみや有害ごみとして集める市もあれば、家電量販店の回収ボックスに出すよう案内する市もあります。燃えるごみに混ぜるとごみ収集車の火災の原因になるので、お住まいの自治体の案内を見て、端子にテープを貼ってから出してください。
最初の1台は10000mAhの20W出力でいい
ここまでを短く整理すると、モバイルバッテリーは電気をためて持ち歩く電池で、最初の1台は10000mAh、20W以上、USB Type-C付きを選べば足りるということです。
家と職場の両方で充電できて、外でスマホをあまり使わない人には、そもそも要りません。毎日カバンに入れて重さだけ増えるなら、買わない判断も正しいです。
通勤の行き帰りにオーディオブックや音楽を聞いていて、夕方に電池の残りが少なくなる人には5000mAhで十分です。100g前後なので、持ち歩いても負担になりません。
旅行や出張が多い人、停電に備えたい人は10000mAhか20000mAhを選び、飛行機に乗る日は機内持ち込みの決まりを思い出してください。使い方と置き方さえ守れば、2年から3年は同じ1台で過ごせます。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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