オーディオブックとは?聴く本の仕組みと紙の本との比較

オーディオブック

「聴く本」と言われても、スマホの読み上げ機能と何が違うのか分かりにくいですよね。

言葉が指す範囲と、始める前に決めておくことをまとめました。

オーディオブックとは、プロが本を読み上げた音声のこと

オーディオブックは、本をナレーターや声優が読み上げて録音した音声です。

紙の本の中身を、目じゃなくて耳から受け取るやり方だと思ってください。

日本では1980年代に「カセットブック」「CDブック」という名前で売られていました。

持ち歩くのが面倒で、当時はまったく定着しなかったんですよね。

流れが変わったのは2010年代の半ばです。

スマホとワイヤレスイヤホンが広まって、音声を持ち歩く手間がほぼゼロになりました。

2018年にはaudiobook.jpが定額の聴き放題を始めて、1冊ずつ買う以外の入り方ができています。

市場も動いています。

日本能率協会総合研究所の調査では、日本のオーディオブック市場は2024年に260億円規模へ届くと見られていました。

金額の大小より、聴ける本が毎年増え続けているという事実のほうが私たちには効いてきます。

みすずさん
みすずさん

母がむかし小林秀雄の講演カセットを持っていました。あれもオーディオブックの仲間なんですね。

スマホの読み上げ機能とは何が違う?

スマホには、文章を機械の声で読み上げる機能が入っていますよね。

これも耳で本を聴く方法ではあるんですが、オーディオブックとは別ものとして扱われます。

違いは、人が演じているかどうかと、聴くための編集が入っているかどうかです。

項目 オーディオブック 電子書籍の読み上げ 紙の本
ナレーターや声優、著者本人 端末の機械音声 なし
キャラの演じ分け あり。複数人で読む作品もある なし 読む人の想像しだい
聴ける本の数 音声になった本だけ 電子書籍になっていればほぼ全部 出ている本すべて
読み返し チャプター単位で戻る 画面で場所を探せる ページをめくるだけ

読みたい本が音声になっていないなら、読み上げ機能で代用する手はあります。

機械の声は抑揚が平坦なので、小説を長く聴くのはちょっとつらいです。

ビジネス書みたいに情報を取りに行く本なら、機械の声でも意外といけます。

物語や会話が多い本ほど、人の朗読との差がはっきり出ます。

小説やビジネス書だけじゃない。落語も語学もオーディオブック

配信サイトを開くと、本以外の音声がずらっと並んでいて驚きます。

業界では音楽以外の音声を広くオーディオブックとして扱う場面があって、棚の中身もそうなっているんです。

講演・対談・インタビュー

著者や専門家が話した内容を、そのまま音声にしたものですね。

本になっていない話が聴けることも多いので、副読本みたいな位置づけになります。

落語・講談・朗読劇

語りを聴かせる芸能は、もともと耳だけで完結しますよね。

LisBoみたいに講演や落語を看板にしているサービスもあります。

本を読む習慣がない人でも、落語からなら入っていけたりします。

語学教材・要約コンテンツ

英会話の教材は、耳から入る形式との相性が抜群です。

flierみたいに1冊を10分くらいの要約にして読み上げるサービスもあって、これも音声の棚に並びます。

ゆうみさん
ゆうみさん

本を探しに行ったのに落語で止まっちゃうこと、ありますよね。

紙の本に負けている3つのところ

耳で聴く形式には、どうやっても直せない弱さがあります。

読み返しにくい、線が引けない、音声になった本が少ない。この3つは仕組み上どうにもなりません。

先に知っておくとガッカリしません。

  • 気になった段落に一発で戻れない。チャプター単位で探すことになる
  • マーカーや書き込みができない。残したいならメモアプリに打つしかない
  • 読みたい本が音声になっているとは限らない

正直に書くと、資格試験のテキストみたいな本にはまるで向きません。

図や太字を目で追う前提で作られた本は、音声にすると情報がごっそり抜けます。

逆に、物語や講演みたいな話し言葉に近い本ほど、耳のほうがすっと入ってきますよ。

読解力を鍛えたいときは紙、時間を取り戻したいときは音声。だいたいこの分け方で足ります。

もうひとつ、聴き終わるまでの時間の長さも見落としがちです。

文芸作品には1冊10時間近いものがあって、通勤の往復1時間だと2週間ずっと同じ本になります。

飽きたときに切り替えられるよう、短い作品を1本ならべて走らせておくと止まりません。

図書館ならタダで聴けます

配信サービスに登録する以外に、公立図書館の電子サービスという道があります。

利用登録さえあれば追加のお金はいらないし、返却期限や貸出点数の制限がない自治体もあるんです。

所沢市立図書館の案内では、名作文学から落語や教養まで約7,000タイトルがそろっています。

返却期限も貸出数の制限もなくて、紙の本や視聴覚資料の点数にも含まれません。

これ、けっこう強いですよね。

もちろん制約もあります。

同時に使える人数に上限があるので、混んでいる時間は待つことになります。

ストリーミングなのでネットにつながっていないと聴けないし、通信料は自分持ちです。

再生の途中で画面を閉じると、次に開いたとき最初から流れ直す仕様になっています。

長編を細切れに聴きたい人には、この一点だけで使いにくいはずです。

音声の著作権は配信元にあるので、録音して手元に残すこともできません。

それでもお金をかけずに約7,000タイトルへ触れられる窓口としては、じゅうぶんアリです。

使えるのは、その自治体に住んでいる人か、通勤・通学している人で利用登録がある人だけです。

やっている自治体もタイトル数もバラバラなので、住んでいる市区町村の図書館ページを見てください。

聴き始める前に決めておく3つのこと

登録してから迷うと、時間だけが過ぎていきます。

聴く本、聴く場面、聴く速さ。この3つを先に決めておけば、最初の1冊で挫折しません。

聴く本は、すでに紙で読んで内容を知っている1冊から始めると失速しにくいです。

知らない本だと、聞き逃すたびに巻き戻すことになって疲れちゃいます。

聴く場面は、手がふさがっていて耳が空いている時間を1つ選んでください。

通勤、皿洗い、洗濯物をたたむ時間。このどれかに固定すると習慣になります。

速さは1.0倍から始めて、慣れたら1.2倍へ上げましょう。

いきなり2倍にすると内容が頭を素通りするので、物語なら等倍のままでいいですよ。

寝る前に聴く人は、止まるまでの時間を決めるタイマー機能を先に見ておいてください。

寝落ちすると再生位置が数時間先へ飛んで、翌日どこまで聴いたか分からなくなります。

最初の1週間の進め方
1日目は短編を1本だけ聴いて、耳が受け付けるか確かめる。3日目までは等倍で通して、4日目から1.2倍に上げる。1週間続いたら、聴きたい本のある配信サービスを選びに行く。
みすずさん
みすずさん

私は皿洗いの15分に固定しました。場面を決めた日から急に続くようになりましたよ。

ゆうみさん
ゆうみさん

読む時間がないと諦めていた人ほど、これで1か月に2冊は増えます。

この記事を書いた人
みすずさん
オーディオブックと音声メディアを得意とするプロライター。配信各社の案内や図書館の担当者への取材をもとに記事を書いています。聴く読書を始めたい人がつまずかないよう、条件と制約を具体的に書くことを心がけています。
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